理事長の発言<No.2009.04>21世紀の日本のかたち(16)
-東京の春の風景 東京の姿形について考える<その3>
世界同時不況の中でも、東京に春は巡ってきます。
東京は温暖化の影響もあってか、桜は年々時期が早まり、今年は3月21日に開花宣言がなされ、4月初旬に花盛りとなりました。
上野公園、新宿御苑、隅田公園、小金井公園、井の頭公園は、日本さくら名所100選に選ばれています。100選には入らなくても都内には多くの桜の名所が散在し、街に華やぎを演出してくれます。また、名所とまではいえなくとも、家々の庭や団地、通りや街角に種々の桜の木々が植えられており、硬い街に花を咲かせて人びとの心を弾ませます。
花見の時期は、財布の紐をゆるませての消費の拡大は相当なものでしょうが、その最大の効用は地域や都市に住民に、活き活きと春の季節を知らせることでしょう。
2009年の東京の春はいまだ世界同時不況の最中にあり、この回復のために日本も世界もあたふたと動いています。来春、東京や日本の社会経済がどのようであるかは私には予測がつきません。ただ、いかなる情況にあるとしても、桜の季節がやってくるとは確信できます。
気候変動に気をつかいつつ、桜を手掛かりに東京に森をつくり、東京に自然誌を大きく呼び戻し、醜悪な人工物を排除してコンクリート砂漠のメガロポリス東京を花の似合う姿形に再生したいものです。