理事長の発言<No.2010.07>21世紀の日本のかたち(31)
随想 ― 平城京遷都1300年―
この夏の一日、久しぶりに古都奈良を訪れました。復元された大極殿に立って前方を見わたすと、朱雀門が見え、千年の都に気分は高揚しました。
21世紀を過ぎ、22世紀の日本の人口は4,000万人台に入るという予想もあります。この事態で巨大都市東京もすっかり縮体し、林立していた超高層も役割を終えて空き家となり、高密過密であった市街地は方々が空地となることでしょう。そこに首都機能だけがポツンと残っている図になるのでしょうか。
平城京は1300年を生抜く知恵として、千年の時間を超える寺院を残しました。現代文明の最先端都市東京は、これに匹敵する建築ないし思想とは何でしょうか。
2010年の夏は、アフリカ大陸で行われたワールドカップ、国境を越えた若い肉体の縦横な交叉、躍動に見入ったに違いありません。