理事長の発言<No.2011.05>21世紀の日本のかたち(41)
随想 -武士の都・鎌倉-

春の一日、奈良・京都に続けて、首都移転の歴史を追って、中世に東国武士団が打立てた都、鎌倉を散策してきました。古都鎌倉は、山と海に囲まれ境界が明確です。三方の山を城壁に見立て、その中にコンパクトに城塞都市をまとめることでした。

中世は日本の歴史の大転換の時代でした。壇ノ浦の戦いで平氏一門が滅亡した4か月後に、京都一帯は大地震(文治京都地震:M7.4)に襲われました。それから十年を待たぬうちに鎌倉幕府が成立しました。

日本の政治中心―首都は、歴史的に西から東へと移動しています。いずれも大きく変化する時代状況を反映し、国のかたちを焦点化するように遷都が行われています。21世紀の日本の首都は東京で在り続けるのでしょうか。

鎌倉を視点に「21世紀の日本のかたち」を書き終えた直後、2011年3月11日、東日本大震災(M9.0)が起き、東北地方太平洋沿岸部の集落や都市は想像を絶するほどに一挙に壊滅しました。この21世紀初頭、日本の国のかたち、首都の在り方を改めて検討すべきと考えます。