平成24年7月に、国の「公益法人制度改革」に伴い「一般財団法人日本開発構想研究所」に名称を変更してから、令和6年度で13年目を迎えます。
当研究所は創設以来50年超の歴史を持ちますが、日本の経済成長、情報化、グローバル化に併走しつつ、くにづくり、まちづくり、ひとづくり、そしてくらしづくりに取り組み、一定の研究成果を残して来ました。
研究所の発足が日本の高度経済成長の後期であったこともあり、当初は大規模ニュータウン開発や全国の臨海工業基地開発を主に手掛けていましたが、その中でも特に地域社会や自然環境との共生に配慮した調査・研究を実施してきました。また、大都市圏制度が整備されたことに対応し、既成市街地での新増設が制限された大学の、周辺地域での整備を支援する国土庁の「学園都市・地区基本計画策定に関する調査」にも積極的に参画しました。この調査は、当研究所の高等教育研究の嚆矢となりました。
その後の研究所が急成長する昭和末期から平成初期においては、東京湾地域の整備・開発・保全に関する諸調査が研究所全体を牽引し、それに全国の公立大学の新設に関わる業務が続きました。平成5年度には、高等教育関連業務の受託が都市・地域関連業務の受託を上回り、以後その構造は現在まで続いています。
今世紀に入り、小泉内閣の構造改革、規制緩和政策等の影響を受け、急速に研究所の受託額が減少しました。それに対応して研究所経営のリストラを進め、その延長上の平成24年に、一般財団法人化に踏み切りました。
一般財団法人化後は、高等教育分野では、私立大学の新増設、医療・宗教法人等による大学の設置、専門職大学の設置等の業務で、また都市・地域分野では、海外関係、子ども・子育て・地域福祉等の業務で、順調に業績を伸ばしてきました。その結果、期末正味財産額が、設立当初の出捐額を超えるまでになりました。
今後は、少子高齢化・人口減少、災害の多発、感染症の蔓延、気候危機の深刻化もあり、世界及び日本を取り巻く新しい時代状況の中、経営的に持続可能な研究所にしていきたいと考えております。
それに合わせて、一般財団法人として社会に有益な研究を行い、発信していきたいと考えております。
公益事業としては、戦後日本の国土計画、国土政策に中心的役割を果した下河辺淳氏関連の資料、「下河辺淳アーカイヴス」、「戦後国土計画関連資料アーカイヴス」をベースに関連資料を収集充実させつつ広く社会に公開します。
また、業務委託研究などから得られた知見などを「UEDレポート」として刊行し、広く社会に還元いたします。
今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
一般財団法人日本開発構想研究所
代表理事 阿部和彦